システム化すると従業員がわがままになる 実録ケーススタディ


アルバイトのシフト管理は、どこの店長にとっても煩雑な仕事であることには間違いありません。
この日、出勤できますか?と確認する作業にはもううんざりです。
希望シフトを提出しろと言っても、期限を過ぎているのにまだ未提出の従業員もいるから、シフト作成作業に取り掛かれないという事も日常茶飯事です。
SMSやLINEでのメッセージのやり取りで交渉することも多いようですが、個別にやり取りしていたのでは効率が悪いのは間違いありません。
システム化して少しでも、業務効率を上げたいと思う気持ちはよくわかります。
サービス業企業においては、現場の管理者である社員の負担を軽減すべく、シフト管理をシステム化しようという試みはよくあります。
残念なことにこれがまた、成功事例が少ないわけです。
まず、コミュニケーションの部分をシステムに置き換えると、どういう事が起こるかについて説明します。
テンプレート化した選択肢のフォームにて、自分の希望シフトをスマホから送信できることで、アルバイトはいつでも、どこでも希望を効率的に提出できるようになることが狙いの一つです。
提出が容易になれば、締め切り間際や締め切り後に提出することも少なくなるのではないか、また記入漏れやミスが軽減され、正しい情報が集まるのではないかという期待がありました。
しかし蓋を開けてみると、システム化したことにより、従業員にとっては、わがままを言いやすい環境を用意しただけでした。
店長にとってはLINEでコミュニケーションする際には、希望提出後に即座に返信しやすかったのですが、システム化してしまうと提出状況を確認してから、個別従業員へ交渉するフローに変わり、店長からの希望提出直後のレスポンスがないだけに、わがままが言いやすいとアルバイトは感じるようになりました。
また、個別に交渉すること自体は、システム化しても変わりません。そこは従来と同様にLINEでのやり取りです。店長にとっては、むしろシステム化したことで情報整理がしにくくなったと感じているようです。
個別の交渉のフローもシステム化すればよいではないかという意見もあるかもしれませんが、そこまでやるとシステム化の範囲が広がり過ぎて、運用フローの変化に対応する際のコストが大きくなりがちであり、リスクも大きいです。
また、確定シフトの連絡という点においては、web上でアルバイトが各自の好きなタイミングで確認することができるようになりました。
これにおいては、店長、アルバイトには好評のようでした。
ただし、従来は一斉送信で告知していたものを、システム化により自由なタイミングで閲覧できるようになったことでの弊害もありました。
従来であれば、この日は無理です。もっと入れますよ。などのアルバイトからのレスポンスが、同じタイミングで得ることができたのですが、自由なタイミングで確認できるようになったことで、店長へのレスポンスのタイミングがバラバラになり、店長にとってはダラダラとシフトの修正が続くように感じられたようです。
シフトの開示については、仕様しだいで改善の余地はありそうです。
他にも、システム上の課題はたくさんありましたが、結局、この企業では、シフト管理をシステム化を諦めて、元の属人的な運用にもどしてしまいました。

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